権利書がなくても不動産は売却できる?

公開日:2024/12/15   最終更新日:2024/12/19

不動産 権利証不動産を売却する際、通常は権利書(登記簿謄本)が必要とされますが、実際には権利書がなくても売却が可能な場合もあります。しかし、その場合にはいくつかの条件や手続きが必要です。本記事では、権利書がない状態で不動産を売却する方法や権利書がなくなった場合の対処法について解説します。

不動産売却には権利書が必要?その理由とは

不動産売却を進める上で、「権利書(権利証)」は欠かせない書類のひとつです。権利書は、不動産の所有権が確かに売り手にあることを証明する重要な書類であり、不動産取引における信頼性を支える役割を果たします。この記事では、権利書が必要な理由や注意点について解説します。

権利書とは?

権利書は、不動産を所有した際に発行される書類で、「登記済権利証」と「登記識別情報通知書」の2つがあります。2005年までは「登記済権利証」が発行されていましたが、2005年の不動産登記法改正により「登記識別情報通知書」に切り替えられました。

この変更により、登記識別情報は12桁の英数字の文字列として通知されるようになり、所有者のみが知り得る機密情報として管理されます。

なぜ権利書が必要なのか?

不動産売却で権利書が必要な理由は、2つあります。

1つ目は「所有者であることを確認するため」です。不動産会社が物件を査定する際、売り手がその物件の正当な所有者であるかを確認するため、権利書の提示が求められます。この確認がなければ、正確な査定や取引が進められません。

2つ目は「所有権移転登記に必要なため」です。不動産売却が成立した場合、買い手への名義変更を行う「所有権移転登記」が必要です。この手続きには、権利書または登記識別情報通知書の提出が不可欠です。

決済日にこれらの書類が用意できていないと、登記手続きを進めることができず、取引が滞る可能性があります。

権利書がなくても不動産を売却できるのか

結論からいうと、権利書を紛失してしまった場合でも不動産売却は可能です。その場合は、司法書士による「本人確認情報」や公的証明書の提出、登記申請手続きなど、代替手続きが必要となります。不動産会社や専門家に相談し、必要な手続きを早めに確認しておきましょう。また、紛失に気づいたときは次のような対応をするとよいでしょう。

権利証を紛失した場合の対応手順

・1.法務局への相談

権利証を紛失した際、最初に行うべきことは、最寄りの法務局に相談することです。法務局では、登記識別情報の不正使用を防止するための具体的な手続きについて案内してもらえます。

また、手続きの流れや必要書類についてもくわしく説明を受けられるため、安心して次のステップを進めることができます。

・2.不正登記防止申出

権利証を紛失すると、第三者による不正登記のリスクが生じるため、不正登記防止申出を行いましょう。この制度を利用すると、法務局が登記申請を監視し、不審な動きがあった際に通知を受け取ることができます。

ただし、この申出は有効期限が3か月であるため、必要に応じて更新が必要です。

・3.登記識別情報の失効申出

権利証が他人に悪用される可能性がある場合は、登記識別情報の失効を法務局に申し出ることができます。この手続きを行うことで、紛失した登記識別情報が無効になり、悪用のリスクを防ぐことができます。

権利証を紛失しても不動産売却する方法とは

不動産を売却する際に権利証がない場合は、所有者本人であることを証明する手続きを行うことで対応できます。具体的には、以下の3つの方法があります。

事前通知制度を利用する

権利証を紛失した状態で不動産を売却する場合、「事前通知制度」を活用する方法があります。事前通知制度は法務局が所有者本人であることを確認する手続きで、権利証がなくても所有者として登記が可能です。手続き費用がかからないため、コストが抑えられます。

登記申請を行った後、法務局から「事前通知書」が申請人の住所宛に発送されるので、この通知書を受け取ったら、2週間以内に必要書類を法務局に提出することで、登記が承認されます。ただし、期限を過ぎると申請が却下されるので注意しましょう。

資格者代理人による本人確認

「資格者代理人」として司法書士や弁護士に依頼し、本人確認証明情報を作成してもらう方法もあります。資格者代理人が面談を通して本人確認を行い、その証明書を登記申請に利用します。

この手続きで必要な書類や持ち物は、本人確認ができる身分証明書、印鑑証明書、実印、購入時の売買契約書、固定資産税納付書や公共料金の領収書、そして手数料です。この手数料は、5〜10万円程度が相場ですが、資格者によって費用や作成にかかる時間が異なるため、早めに依頼し、事前に費用を確認することをおすすめします。

公証人による本人確認

もうひとつの方法は「公証人による本人確認制度」です。公証役場で必要書類を提示し、公証人に本人確認を行ってもらいます。認証された書類は権利証の代わりとして利用できます。

この手続きで必要な書類や持ち物は、実印、印鑑証明書、写真付きの身分証明書、公証人による認証手数料(3,500円程度)です。最寄りの公証役場は、日本公証人連合会の公式サイトで確認できます。

まとめ

もし権利証を紛失したとしても、不動産の売却は可能です。たしかに、権利書は不動産売却時重要な書類であることに変わりありません。所有者であることの証明や、所有権移転登記の手続きに欠かせないため、売却活動を始める前に、権利書の有無を必ず確認しておくことが重要です。しかし、通常の手続きより手間がかかるものの、権利証がなくても専門家のサポートを受けることで問題なく売却を進められます。もし紛失している場合は、代替手続きの準備を迅速に進め、不動産会社や専門家に相談することでスムーズな売却を目指しましょう。

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